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LIVE REPORT from AFI
~現役学生による米国フィルム・スクールレポート~

©2010 American Film Institute. All rights reserved. ©2010 VIPO. All rights reserved.



「AFIが誇る"コンサバトリー・モデル"とは?」




AFIを他のフィルムスクールと差別化する特徴に「コンサバトリー・モデル」が上げられる。

「コンサバトリー」とは元々ヨーロッパのアート・スクールで使われた用語であり、アーティストを一同に集め、作品を作るプロセスの中で学習する教育形態を指す。そこでは、教師は一方的に講義を行う存在ではなく、あくまでメンター(助言者)として作品制作のプロセスに携わる。

特に映画製作は他のアート分野と異なり、コラボレーション(協業)が必須となるため、AFIは40年間に渡り、このモデルを頑なに守り続けている。


2年間で4本のショート・フィルム製作

AFIでは全ての学生が最低、4本のショートフィルムを製作して卒業する。2年間で4本という量はアメリカのフィルムスクールでも最多と言われている。

1年目に「サイクル・プロジェクト」として3本、2年目に「シーシス・プロジェクト(卒業製作)」として1本を製作するが、下記のような特徴を持っている。

サイクル・プロジェクト

学内で主要チームを編成

AFIは入学時から監督、脚本家、プロデューサー、撮影監督、美術監督、 編集の6学科に分かれている
基本的には学校側はチーム編成に介入しないため、自力でパートナーを見 つける必要あり。
苦手な相手との作業にも慣れるため、3本で毎回異なるメンバーと組まなくてはならない

予算は約30万円、準備期間は2ヶ月程度

限られた予算とスケジュールで製作する、学習目的のプロジェクト。そのため、学内での上映のみで、映画祭等への出品は禁じられている。
予算は学校側から提供され、予算超過は認められていない。撮影スケジュールも学校指定の日程から動かせない。

学校側を「スタジオ」と見立てた擬似ハリウッドシステム

予算/スケジュール等に関して全て学校側からの承認が必要。学校との折 衝を通じて、より効率的な予算配分やスケジュールの組み立て型を学習。
ストーリーに関してはプロの脚本家や監督がメンターとなり、1回の製作につき3回程度の打ち合わせあり

ハリウッドの組合ルールに基づいた撮影

俳優はSAG(全米俳優協会)所属のプロを起用するため、1日の撮影時間や撮影開始から食事までの時間等も組合ルールで規定。
クルーも1日12時間労働というハリウッドの規定を守った制限内での撮影

批評会を通じたフィードバック

完成後には、アカデミー賞授賞脚本家がコーディネーターとなり、フェロー(AFIでの学生の呼び名)全員の前で上映。上映後の批評を通じて次回への改善点を明確にする
2年目の卒業製作では、上記の特徴に加えて、さらに課題がレベルアップする。


シーシス・プロジェクト(卒業製作)


予算集めも自分たちの手で

1万2千ドル(約120万円)は学校から提供されるが、足りない分は自分達で資金集めを行う。ただし制作費上限も設定されている。
製作準備と資金集めを並行して行うため、最終予算が見えない中でいくつ かのケースに応じた製作プランを立てる必要あり。

外部スタッフとのコラボレーション

助監督、音楽、音響、衣装等はハリウッドのインディペンデント映画業界 で既に活動しているプロを有償で雇い入れる。

作品完成後のフォローアップ

卒業後に自分たちを売り込むための最重要ツールとなるため、DVDパッケ ージやポスター等も商業作品と同等のレベルで作成。
有名映画祭への出品。過去には学生アカデミー賞・学生エミー賞・サンダンス映画祭等での授賞作品多数。



コンサバトリー・モデルで学ぶこと


AFIでの2年間を終えて、学生たちがこの「製作重視」教育から学ぶことは以下の3つに大別できる。

1.コラボレーションの技術

毎回異なる相手と組むことを強いられるチーム編成の中で、「誰とでも仕事できる」ようになる。AFI入学以前には「気に入らない相手とは仕事しない」と割り切っていたような“職人気質”の学生も、限られたリソースと時間の中で、衝突を経ながらも作品を作り上げることを学んでいく。

特に日本人からすれば、コミュニケーション方法からして欧米人とは異なり、
「日本人の良くないところ」(議論を避ける、はっきりものを言わない等)を衝突のなかで改めて感じさせられる。
また、「チーム」とは言えども、美術監督・撮影監督・編集・・・とそれぞれのポジションによって利益は異なる。「コラボレーション」という言葉は単なる仲良しの共同作業ではなく、時に相手を説得し、納得させることを含む作業であること。

2.理論の実践化


AFI全体のプログラムの中で実際の映画製作が占める割合は半分から2/3程度。残りは座学で理論を中心に学んで行く。プロデュース学科の場合だと、ファイナンス・マーケティング・エンタテインメント法等の授業がある。

学校では理論だけを学び、その実践は社会に出てからというのが日本に多い教育スタイルであるが、AFIの場合は学んだ理論をすぐに映画製作のプロセスで活用する機会が多い。

例えば監督学科では俳優の演技指導の授業を受け、すぐに学んだ内容を現場で使ったり、撮影監督学科では授業で学んだ照明の当て方や撮影技法をすぐに応用できる。実践の場がすぐ近くにあることが授業の効率も高め、当然作品のレベルも加速度的に上がっていく。

また4つのプロジェクトがあるため、前作での失敗や反省点をすぐに次に生かすことが可能であることも、メリットの1つである。

3.ハリウッドの疑似体験

言葉に不自由のないアメリカ人たちにとっても、製作プロジェクトは非常にストレスが強い。ぶつかり合うチームメンバーをまとめきれずに、途中退学するプロデュース学科のフェローも多く、ある年は28人中の4人が1セメスター(学期)で退学したという。強いストレスを経験させること自体が、プロジェクトの1つの目的でもある。

また、東の名門・ニューヨーク大学の映画学科を卒業後、AFIに入学した撮影監督学科のフェローでもすぐに退学してしまった者もいる。撮影監督学科は特に、学科内でお互いを助け合うことが必須であるが(照明、カメラアシスタント等で5名程度が必要)、彼は人間関係が上手く築けなかったためだ。

AFIの教員たちはこのようなフェロー間の問題解決に手を貸すどころか、故意に「放任」することが多い 。それは、AFIが学生に対して業界の疑似体験をさせることを望んでいるためだ。

また、自由に作品を作りたい学生たちに逐一予算やスケジュールの状況を報告させ、時には強制的にプランを変えさせるのも、現実の映画製作プロセスに慣れさせるためである。

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