HOME   »   ★TIPS  »  Japanese Goes To Hollywood -3- 渡辺広
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俳優 渡辺広

東京都生まれ。高校卒業後、俳優を志し、演劇の養成所を経て、ロバ企画という劇団を中心とした活動を続ける。
20代半ば、以前から興味を持っていたアメリカの演技システムを学ぶため、ロサンゼルスへ。
ロサンゼルス・シティ・カレッジの演劇科を卒業後、そのまま当地で俳優業を続ける。

CMや演劇、インディペンデント映画などに出演ののち、初のメジャー映画『ラストサムライ』(03)に続いて『硫黄島からの手紙』(06)では、渡辺謙演じる栗林中将の副官役・藤田中尉役で出演。
このとき、身近で接した渡辺謙の“主役”としての姿勢が『ホワイト・オン・ライス』(08)に主演した際、大変勉強になったという。





ぎらぎらした役者の多いハリウッドで、渡辺広は珍しく無色な存在だ。目立たない、というのではない。いったん役に入ってしまえば、その色はがらりと変わるという意味だ。
渡辺は、日本をテーマにした最近の映画の常連俳優だが、
直接インタビューしてみて「あれ、こんな人だったんだ?」とスクリーンからの印象と全く異なる透明性に驚いた。
そんな“無色”にまれな個性を見出され、インディペンデントのコメディ映画『ホワイト・オン・ライス』では、裕木奈江、ジェイムズ・カイソン・リー(『HEROES/ヒーローズ』)を共演者に堂々の主役抜擢だ。
ドラマからコメディまで、ジャンル変われば、演技も変わる。
渡辺は、ハリウッド・スタイルのバーサタイル(多芸な)アクティングを実践、徐々にその存在感を高めている。


アメリカの演技メソッド、そして英語の壁

日本では、有名劇団の養成所からスタートした渡辺の俳優人生。

日米で演技を学んだ経験から比べると、
「俳優のトレーニングの仕方が日米では全然違う。アメリカはトレーニングの仕方がかなり丁寧で、順々に追ってトレーニングしていくんです。トレーニングの方法論が確立されているんですね。
だから、そんなに才能のない人でも、誰でもその通りにやれば、ある程度になってしまいます 」。

アメリカの演技メソッドは、“才能がなくても、誰でもうまくなる”というもの。
逆をいえば、うまい新人俳優がどんどん生まれてくるのが、ハリウッドともいえる。
ライバルは一日一日多くなる。日本で演技経験があり、芝居では負けていないと思っていた渡辺だが…。

「オーディションを受けたんですけれど、英語が全然できなくて…。これじゃあ、せっかくアメリカに来たのに芝居ができないぞと思いました」。

日本からアメリカに来て1、2年の日本人がアメリカ人と同じ土俵に立とうというのだから、難しいはずだ。
“急がば廻れ”、渡辺はアメリカで演技を続けるために、一時演技者の立場から離れてみた。

「小さなコミュニティ劇団みたいなところで、ボランティアで大道具の仕事をやり始めました。その間、英語も勉強しました」。

こうして仲間を作り、演出家とも知己を得て、小さい役をもらった。英語がうまくできないうちは、オーディションで役を取ることは難しかったのだ。

「10個くらいなんですけど、ちゃんと台詞をもらえました。その台詞を何回も練習していけば、英語がそんなにできなくても、大丈夫。そうやって(役を)もらってました」。


ビッグチャンス、『ラストサムライ』に乗り遅れそうに…


だんだん英語も上達し、芝居を中心にオーディションで役を取れるようになってきた渡辺。
やがて、念願のシェークスピア劇に出演できることとなった。しかし、1カ月半もの公演期間、中世はイングランドの時代に没頭していたうちに、ハリウッドの日系俳優の間では、ある大作映画のオーディションの情報が飛び交っていた。『ラストサムライ』である。

「シェークスピアの芝居をやっていたために、情報のアンテナを張ってなくて、(オーディションに)行けなかったんですね。日本人の脇の小さな役の人たちは、もう決まっていました。『シェークスピア、こんな一生懸命やったのに』と、がっくりしてたんです。そう思っていたら、一つだけ役があるらしくて」。

渡辺謙演じる勝元が幽閉された屋敷に、トム・クルーズら一行が救出に向かう印象的なシーンがある。
その屋敷の護衛役、それが渡辺の役。

「(最初のオーディションで)50人、100人見て、4人くらい選んだんです。後でもう一つ役ができて、また他の人を見てみようということになって、僕が行って取った。でも、そっちの役の方がその他の役よりも大きくて、僕にしてみたら、(最初のオーディションに)行かなくてよかったなと。シェークスピアを一生懸命やってよかったなと思いました」。

余談だが、渡辺、『ラストサムライ』撮影日の休憩時間に、シェークスピア劇にチャレンジしていたことを、共演者の英俳優ティモシー・スポールに話したところ意気投合。ロイヤル・シェークスピア・カンパニー出身のスポールはトムにもその話をしたらしく、その直後からトムまでも、渡辺に親しみをもって対応してくれるようになったという。

「多分、日本からやって来て、8年かけてやっとシェークスピアをやることができたという話が感心されたみたい」。

トムの心まで溶かすシェークスピア、欧米の俳優にどれほど敬意をもたれているのかがわかるエピソードだ。



端役から主役に抜擢! 初主演作『ホワイト・オン・ライス』


『ラストサムライ』『硫黄島からの手紙』を経て、渡辺はいよいよ初主演作『ホワイト・オン・ライス』へ。
主演は初めて?

「そうです、小学校、中学校の学芸会でもやったことないです(笑)。当たり前ですけど、台詞はかなり多かったですね、英語と日本語で」。

『ホワイト・オン・ライス』の共演は、裕木奈江、ジェイムズ・カイソン・リーら。他にも、アメリカのテレビではおなじみの俳優らが出演している。

「僕なんかが主役をやっちゃっていいのかなと(笑)。日本で奥さんに出て行かれた人(渡辺の役)が、アメリカに住む妹の家庭でお世話になりながら、新しい奥さんを一生懸命探すというコメディ」。

監督は、デビッド・ボイル。まだ20代の若い監督だが、流ちょうな日本語を話し、日本文化にも造詣が深い。前作『Big Dreams Little Tokyo』で渡辺を端役で起用、「次はヒロシを主演にする」と宣言した。それが実現したのがこの作品である。

「(ボイル監督は)若いな、というところはあるんですけど、大変いいものを書く。彼とプロデューサーたちは、日本人や日本を題材にして、これから映画をハリウッドで作っていくと、そう思っている人たちです。デーブ・スペクターさんにも、ぜひともこの映画を見ていただきたい!」。

おっと、思わぬところで、われらがデーブ氏 にラブコール。海外ドラマNAVIのTV番組でもおなじみのデーブ氏に、渡辺の思いは伝わるのか…。


TVドラマでレギュラーをとるために日々研究を


映画や芝居の経験は豊富な渡辺、今後の目標のひとつにTVドラマでレギュラーを取ることがある。そのために、TVドラマを見て研究している。

「ドラマのオーディションに行くために、スタイルをちゃんと見ておかないと。シットコムとソープオペラ、刑事ドラマ、学園もの、いろんなドラマによって、演技のスタイルが違ってくるんです。それをちゃんと理解して、オーディションに行かないと、役を取れる可能性が低くなってしまいます。
たとえば、刑事ドラマは、1時間のうちに物語を終わらせないといけないですから、テンポがすごく早い。ポンポン台詞が進んで、現実の会話よりどんどん早く進んでいったりします。
ソープオペラはもう演技のテクニックはなしで、かっこよくトレンディに。自分がモデルみたいな感じになってやる。
あと、シチュエーション・コメディ。これは30分ですから、テンポがものすごく早い。シチュエーション・コメディは普通の会話でも、ステイクをハイにするというテクニックをやるんです。ステイクというのは、たとえば、ちょっとした事件でも、もう大事件のように(笑)。テンションを高めにということですね。そのためには、こうやって会話を聞いて、なにか事件があったときに、『エッー』と(驚いた表情をする)。それが生か死っていう感じまで、気持ちを持ち上げて、どんどん話していく。相手からもらった台詞も、120%持ち上げて返していくんですね。
ドラマドラマによって、演技のスタイルが変わっていっちゃう。オーディションで、そのスタイルをちゃんと見せるっていうのが大切なんです」。

最近は『HEROES/ヒーローズ』はじめ、日本をテーマにしたドラマも少しずつだが出てくるようになった。『ホワイト・オン・ライス』で共演した、韓国系アメリカ人のジェイムズ・カイソン・リーが、『HEROES/ヒーローズ』のアンドウ君を演じて好評だが。

「あの役は、日本語がしゃべれなければいけない役で、国と言語が違うのに、すごい努力をしているのだと思います。彼は舞台にも定期的に出ていて、そういう努力をちゃんとしている人です」

彼の努力を身近で見ていただけに、賞賛は惜しまない。しかし、「日本人の役は日本人が取りたいですよね。日本人がやると日本のマーケットを狙えるんです」 と、日本人俳優として、ハリウッドでの役割も自覚している。

これからも「こちらの日本のことを撮りたいという監督さんたちには、120%ぐらい協力します。ハリウッドを通して、日本人のよさとか日本文化のよさを発信したいですね」。

無色の俳優・渡辺広。
柔軟に、しかし綿密な演技で、ハリウッドへ、世界へ、日本売り込みに貢献するつもりだ。


取材・文/橋本裕美子
構成/海外ドラマNAVI編集部
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