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俳優 尾崎英二郎

1969年3月31日、神奈川県生まれ。
NYで演劇手法を学んだ演出家・奈良橋陽子氏に師事、97年にNHK『あぐり』でテレビデビュー。97~99年には舞台『The Winds of God』に出演、日本全国ツアー、NYオフブロードウェーにまで進出し、話題となる。
さらに03年には『ラストサムライ』、06年に「硫黄島からの手紙」と、ハリウッド大作映画に次々と出演を果たす。
07年後半からは、活躍の場をハリウッドに移し、TV『HEROES/ヒーローズ』等に出演。最近では、俳優業のみならず、そのチャレンジ精神を学んで欲しいという教育現場のリクエストに応え、高校大学などで講演、熱いスピリットを日本の若者たちに注入している。





今、全米、そして日本で最も注目されているドラマの1つ『HEROES/ヒーローズ』のシーズン2にヒロの父、カイト・ナカムラ(ジョージ・タケイ)の青年時代の役で出演した俳優・尾崎英二郎。

堂々たる英語を駆使し、大役を演じる勇姿からは意外に思えるが、実はアメリカに渡ってまだ1年足らず。
『HEROES/ヒーローズ』への出演が決まったときは、日本に暮らしてさえいた。しかし、そこに至るまでの道のりは長く、そして前進するためならば、自分の全てを注ぎ努力した。
その結果、日本にいながらの全米超人気ドラマ出演という“奇跡”が生まれた。


奇跡のオーディションストーリー『HEROES』


「僕は、“奇跡”という言葉をよく使うんですけれど、実は『HEROES』も、すごい展開で決まったんです」

今も、その興奮は覚えている。その目がそう語っている。
尾崎とのインタビューは、まさに一人芝居を見ているかのよう。こちらもぐいと引き込まれる。

「昨年の6月、エージェントに売り込みにロサンゼルスに来たんです。5月に『硫黄島からの手紙』のDVDが発売されるのを待って。この映像資料を使って、売り込まなきゃと思ってましたから」。

日本で14年間の俳優キャリアを持つ尾崎は、日本で活動を続けながら、ブラジル、ニュージーランド、香港などで映画や舞台、海外での仕事に積極的に挑んできた。『ラストサムライ』や『硫黄島からの手紙』はその出演作の一つ。特に『硫黄島』では、 日本でオーディションを受け、キャスト入りした7人の俳優のうちの1人である。ちなみに他の日本キャストは、 二宮和也、中村獅童、加瀬亮、伊原剛志ら。その伊原演じる西中佐から、隊を引き継ぐ大久保中尉が尾崎の役。 “著名な”彼らにも負けない大役は、自分の演技力だけで得た。 “無名=無力”の日本から、結果(役歴)が俳優としての地位に確実に反映するアメリカへ。 念願のハリウッド進出は、これを“挨拶状”にすると決めていたのだ。

「自分のヘッドショット、映像資料をDVDに焼いて、108社、のべ129人のエージェント宛に全部封筒で発送しました。その時点では、僕にはアーティストビザもない、日本に住んでいる。エージェントが興味を持ってくれるかなんてわからないわけです。かなりの投資ですから、これで1社も電話がかかってこなかったらどうしようと」

翌日には3社から電話があり、結果的に20社以上のハリウッド・エージェントからアプローチがあった。

「最初に電話をくれた3社のうち、1社から『今日の4時に面接しましょう』とアポを取れたんですね。そしたら、10分後にまたそこから電話がかかってきたんです。『今日の4時の面接を無しにして。その代わりオーディション行ってほしい』と」。
「おもしろいでしょう」と間を置く。

尾崎は『HEROES』に出たわけだから、結果に不安はないものの、次の展開が早く知りたい。
尾崎劇場は続く。

「『(NBC)ユニバーサルで今、『HEROES』っていうドラマのオーディションをやっているの。日本人の“サムライ”役のキャスティングがあるから行ってくれる?』と。ちょっと無謀なんですけどね。ビザがない人は普通、オーディション受けられないんですよ。だけどエージェントがうまく言ってくれたんでしょうね。そういう意味でも『硫黄島』の力というのは、すごく大きかったんです」。

オーディション当日、尾崎は全力で“侍”を演じてみせた。わずか数分の演技で若いキャスティング担当は大興奮。

「日本で(サムライ役の)作品に出ているのね。わかるわ、あなた違うもん、他の人と」。

最大のほめ言葉。エージェントにもすぐ、キャスティング担当は連絡を入れていた。
しかし…。

「『永住権かシチズンシップ(市民権)を持ってる人じゃないと雇えない』と言われて。エージェントの話によると、即電話をくれて『He was brilliant.』って言ってくださったんです。だけど雇えないと。キャスティングの方が、『もし彼が本格的にビザを取って戻ってくるんなら、覚えておきますから』って言ってくれて、そこで話が終わりました」


急な撮影のオファー、でもビザが下りない!


結局、そのエージェントをハリウッドでのパートナーに決めた。『HEROES』については、オーディション後も好感触。アーティストビザを申請する方向で、エージェントや弁護士と相談していた。しかし、事態は急展開。

「9月に、(オーディションとは)まったく別の役で正式な出演オファーが入ったんです。9月26日に撮影なんだけど、来れるのかと。けれどビザが間に合わない。

そこからエージェントと弁護士と『 HEROES 』の法律担当が協力し合って動いてくれた。一時期はNBCがスポンサーになって、ビザを下ろすからと言ってくださった。でも、それはちょっと困ると。NBCがスポンサーになっちゃうと、僕はNBC、もしくは『 HEROES 』の仕事しかできなくなっちゃうんです。エージェントにスポンサーになってもらって、最長3年間のビザを取るのが目的でしたから、NBCには仮契約の書類を出してもらって、移民局に急いで申請して。でもねえ、9月26日に間に合わないんですよ」

“ビザ”といわれてもたいていの人はピンとこないかもしれない。アメリカで働くためには、たとえ1ドル稼ぐにも、労働と滞在を認めてもらうために“ビザ”が必要なのだ。
その法律をもし破って“ビザ無し”の俳優を起用したら、NBCは『HEROES』の撮り直しを強いられ、大損害を被る事態になりうる。それほど大切なものだから、取得するには正式な書類を完全に揃えなければいけない、費用も時間もかかる。これがネックになる外国人俳優は多いのだ。

もう間に合わない。
このとき尾崎は、唯一できることを行った。

「『HEROES』のキャスティングに向けてメールを送ったんです。“今回、すごく光栄なことだと思っているし、日本人の役柄に日本人を使う、また僕という俳優を使うチャンスを番組としても逃してほしくないし、僕も絶対この機会を逃したくない。だから数日間でいいから、必ずビザが下りるから待ってもらえないか。もし起用してもらえるんであれば、僕は全精神を注いで、この役を演じるから”と。そしたらエージェントを経由して、キャスティングから返事が来たんです。『Off course, we’ll wait. It’s your role.(もちろん待っています、あなたの役だから)』」。
撮影は、10月10日に延期された。


日米の撮影現場の違い、それは相手に対するリスペクト


尾崎は、日米の撮影を経験してみて、スタッフの技術レベルにそう違いはないと、日本人クルーをほめる。
しかし「(俳優に対し)リスペクトが違う」と感じている。『硫黄島からの手紙』のときにも経験したことだが、日本から尾崎をアメリカに呼ぶために、移動はファーストクラス、現場に入れば個人用のトレーラーで本番まで集中させてくれる。

「『HEROES』では、出演決定が知らされた時点で、『ゲストスター枠で、テレビの画面に2人ずつ名前が出ます。あなたの名前は上のカードです』ってところまで言われるんです、それは感動しますよ、とても。
特に日本でいろんな経験をしてきたから。リスペクトして仕事をさせてくれるクルーたちもそうだし、エージェントに対してもそう。全部僕のために交渉してくれる。そういうことを僕も(彼らに対し)リスペクトできるんですね。撮影現場に行けば、とてもいいムードの中で、仕事をさせてもらえる。怒鳴る奴はいない、『何やってんだバカヤロー』とかいうのないですから(笑)」。

学生時代、1年間のアメリカ交換留学中に、俳優になるのを決意した。
再度アメリカに渡って、NYの名門ネイバーフッド・プレイハウスで演技を勉強したかったが、それは金銭的に容易には実現できなかった。そこで、アメリカには勉強するためではなく、仕事をするためにいつの日か戻ろう、と目標を切り替えた。


日本人俳優ではなくアジア人俳優を目指す

そして今、ハリウッドに暮らして1年。世界のショービジネスの中心で見る夢は…。

「僕らは、日系・韓国系・中国系アメリカ人たちと競って、英語の台詞の役を勝ち取らなきゃいけないんです。単に台詞が言えればいいだけではなく、現場に行ってアメリカ人の監督から矢継ぎ早に演技の要求をされて、それを消化して体現できるだけの理解力と、逆に『いや、こういう方向で演じてみたいんだけど』って交渉できるくらいの英語力がないと、オーディションの時点でもうダメなんです。その役がたとえ日本語の台詞でも、英語で指示が出るじゃないですか。今度こうやってみてと言われ、やらせてみたら(演技が)全く同じ。『はい、ありがとう』ですぐ終わります。
日本語の台詞なら日本人が獲得できる、と思ったら大間違いなんです。韓国系アメリカ人のジェイムズ・カイソン・リーがマシ・オカの親友“アンドウくん”役を取れるわけですよね、日本人の役でも。
だとしたら、僕らは台詞の練習だけではなくて、本当に深い英語力をまず身につけないといけいない。 今の時点だと、オーディションで韓国系とか中国系に負けるんですよね。そこを勝ち取っていけること」。

オーディションで、現場で、英語の重要性を改めて感じた尾崎。学生のころから通訳や英会話講師として活動し、英語には堪能だったけれど、今は別次元の英語力が要求されている。
しかし、「限界に挑戦しなければ、人間は決して全力を出せない」と自ら追い込むことで、尾崎はここまでやって来た。

“日本人の”から“アジア系の”へ夢の範囲も広がった。

「日本人ソサエティからだけでなく、アジア系ソサエティの俳優の中で、リスペクトされる人物になりたいんです。でないとアメリカの映画業界で認められないと思う。まだまだ力は足りないんですけど、もっと磨いて、日本人もしくはアメリカのアジア人の中で名前が挙がってくる第一人者、っていうところにいくのが、俳優として目標ですね」。


取材・文/橋本裕美子
構成/海外ドラマNAVI編集部
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