HOME   »   ★TIPS  »  「アーテイストとして生きること」
RSSフィード iGoogleに追加 MyYahooに追加
「アーテイストとして生きること」
現代美術家:宮島達男


この国でアーティストがどう生きるべきかリアルに考える。
はっきり言って、絵で飯は喰えない。
皆分かっているのに、その幻想の旗を降ろさない。なぜか

幻想の原因は美大というよりも、美大の先生方がその幻想を信じているからでしょう。
そして、その夢を若い連中に語る。
まるで、それを捨ててしまったら、アーテイストではないと思い込んでいるからではないか。
ここには、アーテイストという生き方の誤解があるように思う。

この幻想「プロのアーテイスト=絵で飯を喰う人」という図式は誤解ではないか。

アートは職業になじまない。むしろ、アーテイストは生き方である

自分の生活は別途、自分で支え、自らの想いを納得のゆくまでカタチにし、他者へ伝えようとする人間。生き方。それは素晴らしい生き方だと思う

そうした生き方と思い定めれば、自由になれる。
うまいへた。評価されたされない。売れた売れない。人と比べない。楽しいから描いていた頃。そして見てくれた人に喜んでもらえたことが幸せだったあの頃。人の評価でなく、自分が良いと本当に思えるものができたときの喜び。それが本当の自由。

そうした生き方をした人に、ゴーギャンがいる、ルソーがいる。無数の絵描きがいる。
むしろ、ピカソのように絵で喰えた人はまれ。全体の1%もいない。宝くじを当てるより難しい
そんなギャンブルのような賭けに自分のアートを翻弄されてはつまらない。

この生き方、絵描きに限らない。
評価されるされないに関わらず、自分が良いと思える事を人と比べず追求する。
そんな人はもうすでに本物のアーテイスト
そう、実は、アートは絵描きだけの専売特許ではない。誰もがアーテイストに成れる。Art in You

そもそも職業とは誰かのニーズがあり、そのニーズに応えて成立するもの。
アートには、もともとニーズがない。
自発的に想いをカタチしているだけ。だから職業となじまない
しかし、ごくまれに職業として成立してしまう者が現れる
ここが、幻想を生む原因だ。

では、これを、どう考えれば良いか

アートが職業として成立する。それは偶然としかいいようがない。
もちろん、作品には「美の基準線」が存在する。作品として成立する最低限の質は昔から変わらずにある。
努力次第でそれは手に入れられる。美大で教育するのはここ。

だが、それを満たした作品が売れるかというと、そうとは限らない。

偶然に作品が売れてしまうのは、時代や環境、流行など外的要因が大きい。
だから、時代によって評価も変動する。
たとえば、最近になって評価が高くなったフェルメール、逆にビュッフェのようなケースも。
現在たまたま喰えているアーテイストもどうなるか。喰えることと質とは別次元である。

この「質」と向き合うことは、自分と向き合うこと。
外的要因ではなく自分の努力で報われる世界。ここは裏切らない。
「喰えることは偶然」と腹を決められれば、何も怖いものはなくなる。
悲しいのは喰えないことではなく、アーテイストとしての目的を失うこと。

目的を失うと、すべてまわりの責任にする。
「環境が悪い」「日本の文化度が低い」「社会が悪い」「マーケットが悪い」・・そして、戦略を巡らし、外堀から埋めようとする。
これではいつまでたっても自分の「質」と向き合えず、一流のアーテイストとして生きられない。

もちろん、社会構造の問題もあるので、私自身、「文化芸術基本法」の制定や、「文化防衛戦略」への答申、税制の改革など。日本の構造改革にも関わってきた。しかし、それでもアーテイストの生き方の問題は依然として解決しない。

むしろ、ア-テイストな生き方をする人が増えてくれば日本の構造も変わる。
なぜなら、アートには人を思いやる想像力と、出口の見えない問題を突破する創造力の2つが獲得できるから。
自分と向き合う感性を持った人がたくさん出れば、日本のカタチはすぐに変わるのは当然。


だから、すべての人にアーテイストな生き方が必要。
「アーテイスト=絵で飯を喰う」という幻想が、すべての人のアート教育の機会を奪う。音楽、踊り、建築、書、どんな分野でも、人間を人間たらしめる根本の教育。それがアート教育。矮小な幻想を常識と勘違いしてはならない。

Art in You. こうしてアーテイストは、たかだか150年の小さな「名詞」の殻から解放され、悠久の大きな「形容詞」に変容する。そして、アーテイストは幻想でなく、リアルな「生きざま」として刻印される。
スポンサーサイト
NEXT Entry
14' Winter Part3
NEW Topics
台湾自転車旅#10
台湾自転車旅#9
新企画「TIME CAPSULE」始動
台湾自転車旅#8
台湾自転車旅#7
台湾自転車旅#6
台湾自転車旅#5.5
台湾自転車旅#5
「Give & Talk」無期限休止
台湾自転車旅#4
Author

EIJI LEON LEE

Author:EIJI LEON LEE
★オフィシャルサイト
http://filmsta.wix.com/eijileonlee

★Twitter
Twitterボタン

@EijiLeonLee


Page Top
CALENDaR 12345678910111213141516171819202122232425262728293031